温もりを求めて

おはようございます、お久しぶりです(ぺこり)。

昨年同様、湿気でふにゃんふにゃんになった襖を眺めつつ、ああやはり今は冬なんだなぁと実感している川谷です(苦笑)。雪で白く覆われた景色にも、大分なれました。

寒い寒いと言いながら、今年川谷と同居人はこたつを出していません。

理由は、アパートに備え付けられたエアコン暖房を使用しているからです。

「Kさん、思うに暖房を使えば洗濯物が乾きやすくなるのではなかろうか」

「成程確かに」

という理由です!(キリッ)

冬の洗濯物は室内干しで、どう足掻いてもぱりっとした感触には程遠いのですが、暖房にお世話になるようになってからは、多少ましになりました。

まだまだ冬は続いていくので、暖房と上手くお付き合いを続けていきたいと思います。

 

それでは、本日も恒例となりつつある小話をひっそりとひとつ。

 

【湯たんぽおひとつくださいな?】

 最近の彼女は、この家にある湯たんぽがお気に入りらしい。

 夕飯を一緒に食べようと約束して夕方頃に家へやって来ると、すぐに居間へ向かい、電源の入っていない机に布団を被せただけのこたつの中にある湯たんぽを取り出して、嬉しそうに抱き締めている。

 ひどく痩せている彼女は、寒さが大の苦手だ。

 だから、最初の内は暖房器具のないこの家においでとは誘えなくて……そんな時に、幼馴染の彼が湯たんぽを買えばいいじゃないかとアドバイスをくれた。

 丁度膝に乗るくらいのプラスティック・ケースに沸騰したお湯を入れて、低温火傷をしないように布で包む。

 中身のお湯を入れ替えれば何度も使えるのも、有り難い。

 彼女はこの文明の利器を大層お気に召してくれたようで、以降は偶に彼女の方から家に来たいと言ってくれるようになった。

 電気の通わないこたつも、今の今まで入っていた湯たんぽのお蔭で、ほのかに温かい。

 土鍋に野菜とお肉とお豆腐を入れて、ぐつぐつと煮込んだそれは、冬のご馳走だ。

 寒い寒い冬の日に、3人でこたつに潜り込んでお鍋を楽しみつつ、暖をとる。

(なんか、いいな……こういうの)

 ぬくぬく、ぬくぬく。

 体も心もあたたかい。

 《終わり》

しあわせだね

 

それでは、改めまして。

本日はここまで目を通してくださり、本当にありがとうございます!

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小さなお話お留守番

【朝のお話】

 冬の朝は寒い。

 分厚い布団に毛布やら薄手の掛け布団やらを重ねている筈なのに、寒いのだ。

 人間が立体である以上、どうしても生まれる布団との隙間に、冷え切った空気は容赦なく入り込む。

「……」

 そして。

 分かってはいたが、隣には昨夜共に布団へ潜り込んだ筈の相手はおらず、冷え切った布団の隙間があるばかり。

 その代わり、台所の方から火を使う気配を感じる。

 とんとんとん……と、何かを刻む包丁の軽やかなリズムを聞きながら、そっと瞼を下ろす。

 男が再び部屋を訪れるまで、あと十分。

 《終わり》

ぎゅっと詰め込まれた短い時間

 

【昼のお話】

「つまりは、結果よければってやつだと思うわけであります」

「成程」

 日向家のリビングには、居候の青年と、何故か某DJの2人が向かい合った状態でソファーに座っている。

 しかし、あくまでリラックスした態度を崩さない睦実とは違い、ケロロは妙に張り詰めた雰囲気のまま言葉を続けた。

「あいつがヘタレでどうしようもない恋愛下手であるということは重々承知していたものの、我輩、正直舐めていたであります」

「あはは、まあドロロだしねぇ~?」

「ぶっちゃけ、あそこまでいくとドン引き所の話じゃないでありますよ」

「ふむふむ、で?俺は何をすればいいのかな?」

 俺に出来ることならお安い御用だよ、という睦実の台詞は何とも頼もしい。

 ああ、あの幼馴染にもこれくらいの甲斐性があれば……という内心はそっと奥深くに押し込めて、ケロロは改めて口を開く。

「睦実殿には、クルルをこの場所に連れて来て欲しいのであります!」

「ここ――――って、よくとれたね」

「ふっふっふ、そこは我輩の人脈をフル稼働したんでありますよ」

「おおー」

「そんな訳で、今年こそ、今年こそ、いい加減あの2人にはもう一歩先に進んでもらうであります!」

「おー!」

 だっていい加減青色の愚痴がうっとおしいんだもん、という呟きを、優しい睦実は聞こえないふりをした。

 《続き》

年末年始は高級ホテルのスイートルームで

 

 時間設定でこっそりと(笑)。

 それでは、改めまして。

 今年は更新が今まで以上にスローペースであったにも関わらず、こうしてこの辺境地を訪れてくださった皆様に、心からの感謝と喜びを。

 2012年が、皆様にとって過ごしやすい1年となるよう、ひっそりとお祈り申し上げます。

 勝手ながら、来年もこうして皆様のお目にかかれることを願いつつ……。

 

 今年一年、本当にありがとうございました!

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年末片道切符

 2012年。

 辰年。

 あけましておめでとうございます、迎春、賀正、エトセトラ。

 イラストや文字組みがぎゅっと収録されたCDーROMを使えば、それらしい年賀状があっという間に、ほら出来た。

 自慢じゃないけれど、自分はどこぞの機械音痴な幼馴染とは違ってパソコン操作はお手の物だ。もっとも、それが本職のあの子には敵わないのだけれど。

 きらきらと輝くお月様の色をうつした髪が頭に浮かんで、そっと溜め息を吐く。

(……長いでありますなぁ?)

 彼女を追い駆け始めてから、もう何年になるだろう?

 随分と前にカウントを止めたから、ぱっと数字が出てこない。多分逆算すれば分かることなんだろうけど、敢えてそれをしようとは思わなかった。

 出来上がったデザインをはがきに印刷する。

 画面上のボタンをワン・クリックすれば、あとは印刷機が勝手に印刷してくれるから楽だ。

 フルカラーだから、いつもより1枚1枚の印刷に時間がかかるけれど、今更少し急いだところで元旦には届かないのだから、構わない。

 12月31日。

 もうあと数時間で、今年が終わる。

(今年も結局、進展はナシ――――でありますな)

 ふう、と吐き出した息は、思いの外重かった。

 暇な時間というのはいけない。日常の、ふとした瞬間に生まれる小さな隙間は、普段考えないようにしているものを引きずり出してきてしまう。

 何もしない退屈を責めるように、何かをしろと言わんばかりに。

「……あーあ」

 がしゃんがしゃん、印刷機は休みなく勤勉な働きっぷりで。

 そんな彼(彼女かもしれない)のすぐ傍で、ごろりとカーペット敷きの床に寝転がる。

 見慣れた天井を仰ぎながら、ふと、あの子に会う前のことを思い出してみた。

 父親が軍人だったから、そこそこ何でも器用にこなすことができたから。

 当たり前のように入った軍は、思った以上にくだらなくてつまらなかった。

 惰性でそれでも任務をこなして、虚しさや退屈さを埋めるように、色んな女の子たちと関係を持ったいたあの頃。

 恋愛は退屈しのぎであって、全てを賭けるような遊びじゃなかった。

 ほんの一時の温もりと、他愛もないお喋り。それは確かに好きだと思えるもので、でも、やっぱりそれだけだった筈だ。

 あの日。

 あの子に会って、そんな過去が全て崩されてしまった。

(――――好きって、言ってるのにねぇ……?)

 彼女に対して、言葉を惜しんだことはない。

 薄い体を抱き締めて、好きだと伝えることなんて日常的に行っている。

 でも、その全てが彼女にとってはおふざけの延長でしかないらしいのだ。

 あの恋愛下手な幼馴染たちに指摘されてしまうのだから、世も末である。

「本気だっつーの」

 そう、本気。

 少なくとも、今までで一番。

 だからでこそ、今までのやり方を変えられないなんて、とんだ臆病者だ。

 

 好きだという言葉はこれからも伝えていくつもりだし、ボディ・スキンシップだって続けていくだろう。

 そして、多分これからも、自分はたった一言が伝えられないままなのだ。

(――――すき)

 ねえ、君は俺のことを好きになってくれますか?

 

 《終わり》

往復はがきは送れない

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おひとりおふたつ

「さつまいもとかぼちゃ、どっちにする?」

「あー……かぼちゃ」

「りょーかい♪」

 ぐつぐつと温めた油の中に、まずは1つ。

 じゅわっ、と音を立てて泡を吐くそこに、もう1つ。

(3個目はちょっとキツイかな?)

 何せ、普段はしがない1人暮らしである。加えて揚げ物なんて滅多にやらないから、こうして揚げ物用の鍋があるだけで拍手ものだろう。

「根菜の天ぷらってさ、中に火が通るまでに結構時間かかるよね」

「まぁな」

「あ、レタス足りた?」

「充分だろ」

 少し無理をして後ろのテーブルを見れば、丁度ガラスの器にミニトマトがのせられるところだった。

 レタスときゅうりの緑と、コーンの黄色。そして、ミニトマトの赤が目にも鮮やかな、季節外れの野菜サラダ。

 今でこそ温室栽培などといった科学の力で年中スーパーに並んでいるのだけれど、旬を過ぎたそれは絶対的な入荷数が少ないため、お値段が少々痛い。見切り品として割引がされていなければ、多分手を出さなかっただろう。

(それにしてもまあ……)

 別に、何か特別なことがされているわけではないだろうに。

 ごくごく普通の量販店で購入したガラスの小鉢に、見切り品の野菜たちが見目良く盛られているのは流石というべきか。

 野菜を凝った形に切っているわけでもない。ただ、全体的なバランスがいいのだ。

 この相棒が器用で案外料理上手であるということは知っているけれど、それでも毎回その如才のなさには驚かされる。

「おい」

「ん?――――っと」

 危ない。

 うっかり黒焦げにしてしまうところだった天ぷらを救い出して、油を切るためのタッパーに乗せる。

 ちょっとばかり表面が濃い茶色になってしまったけれど、まあこれ位ならセーフだろう。

 ほっと内心安堵の息を零せば、それを見透かしたような意地の悪い嗤いが耳に届いた。

「焦げたらお前が食えよ」

「はいはい」

 むしろ、失敗したものをお前に食べさせると思われている方が心外なんだけど?

 ――――なんて。

(まあ、そもそも向こうも単なる皮肉のつもりなんだろうケド)

 そんな訳で、3つ目投入。

 

 《終わり》

下拵えの時間

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局部的疾走

こんにちは、お久しぶりです(ぺこり)。

ここ暫く、クリスマスに纏わるあれこれにブンブンと振り回される日々を送っております。そのため、日々書き留めているメモ書きが大変悲惨なことに……(苦笑)。

しかも、最近またしても別ジャンルに浮気と言いますか、そちらのお話を量産しておりまして……ケロロ軍曹のお話は、今まで以上に色物中心になりつつあるのです(突っ込み所)。

ここで一例を挙げさせていただきますと、青黄の子どもが出てくるお話などです。

2人が結婚をすっとばして子育てをしています。

川谷の色々と惜しい脳は、子どもが欲しい2人の営みと子育てに関する、救えない小話を量産中です!(胸を張れる箇所がない報告)

新しい刺激を求めた結果なのですが、つくづく己が残念でなりません……。

しかし、個人的には気に入っているということも事実ですので、このような欲望にまみれたパラレルの小話をひっそりと投下させていただきます。

「大丈夫、今更なにが出てきても驚かないですよ?」

と言ってくださるお優しい方に、ちらりと一読していただければ幸いです。

 

*今回は子どもは出てきません

*性行為をほのめかす描写を含みます

*以前アップしたお話と似通っています(好きなものは繰り返しが基本)

 

【冬の約束】

 寒い。

 ――――冷たい。

 ひたり、と触れてくる箇所から熱が奪われ、生まれ、そして空気に触れて冷えていく。

 生まれる熱は弱く、その手の平が離れていく次の瞬間には、あっという間に冷えた世界に奪われる。

 儚い、というよりも、ひたすら不毛だ。

 コレで暖をとるなど嗤わせる。

 半端に煽られた体は、むしろ周囲の冷え込んだ空気との差を過敏に感じ取るだけではないか。

 分かっていて、自分はコレを拒まない。

 ――――拒めなく、なってしまった。

(……別に、欲しいとか、そんなん考えたこともなかったんだがなぁ……?)

 躊躇いつつ頬に触れる手は、やはり冷たい。

 寒さのせいもあるのだろうが、そこには精神的なものもあるのだろう。

 熱を奪う、硬く冷たい手の平に、目を閉じる。

(……俺も、随分ヤキが回ったもんだ)

 常に他者の目を気にして怯えてばかりのこの男が、まさかあんなことを言えるとは思わなかった。

 だから、少し絆されたのだ。

 何かを強く求めるということがなかったこの男が、初めて自分に対して『欲しい』と言ったものを、与えたいと。

 そう思ってしまった過去の自分を愚かだとは思うが、不快には感じないというのだから相当だ。

 息が上がる。

 お互いの口から吐き出された白いそれは、混じり合って、瞬きの間に掻き消えた。

 《終わり》

一歩先の関係性

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