残念なひとたち
晩ご飯を作っていたときのことです。
本日は、少々時期を外してしまった茶そばをざるそば形式で食べることに決めていました。寒いので、おかずは茶碗蒸しを選択。
最近気に入っている曲を口ずさみながら用意をしていました。
その歌詞の中に、『青空に背を向けて~』という部分があるのですが……。
「え?!」
「……何だ?」
「け、圭さん……」
「?」
「『アホ共に背を向けて』って、歌った……?」
「……いんや」
同居人は、本気でそう聞こえたらしいです……(シリアスな歌詞が一気にギャグ化)。
そんなどこか惜しい日常話の後に、小さなお話をひとつ。
『ブランケット・ラヴァー』
新しい毛布を買った。
淡いクリーム色の厚手の毛布は、量販店で売っているありふれたモノだが、手触りが良い。
最近では珍しい青空の下で、陽光を浴びた毛布は、すぐに気に入られたようだ。
ふかふかの毛布に顔をうずめていたソイツと、ふと目が合う。
「……何だ?」
「べーつーにー」
「……お前な」
「知りたい?」
「……」
素直に頷くのはシャクだが、それでも気に掛かったので、仕方なく首肯する。
ソイツはおなじみの嗤いを見せて、やたらともったいぶりながら口を開いた。
「アンタ、何でコレ選んだんだ?」
「……?どういう、」
「当ててやろうか?」
「……」
「手触り。だろ?」
「……」
――――当たっている……。
だが、話題の脈絡が見えてこない。
「そーゆートコが、『親父臭い』って言われるんだぜぇ?」
「……っな!!?」
「く~っくっくっく……」
独特の嗤い声がテントに響く。
楽しげなその声とは正反対に、こちらは腹の底から煮えたぎってくる怒りを感じているというのに……あくまで、クルルは楽しげにわらう。
「っいい加減に――!」
「ま、嫌いじゃねぇけどな?」
「………………………………は……?」
――何だか、今。とんでもないコトをさらりと言われたような気がするのだが……。
「顔赤いぜぇ~?」
「っう、うるさい!!……お前は、俺をからかっているのか?!」
「もちこーす」
「……」
――――こういう奴だと分かってはいる。
(しかし……もう少し、どうにかならないものか……)
だが……。
こちらをおちょくって満足したのか、再び毛布にご執心な姿を見ていると、これ以上何も言えなくなる。
(全く……)
小娘に振り回される自分を情けないと思う。
しかし、今はこれでもいいか、と思う自分もいる。
想像以上に新品の毛布を喜ばれて、嬉しい気持ちには変わりないのだ。
(……やきが回ったものだな……)
――――だが、それも悪くない。
《終わり》
ようやく辿り着いたぬくもり
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!


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