シュークリーム〈前編〉
ハロケロもついに最終日となります。
今回は、川谷がケロロ、ギロロ、ドロロの幼馴染組で前編を。そして、悠氏が『こどもの箱庭明け方の宙』でクルル、タママの後編をアップしていますので、併せて読んでいただければ幸いです!
彼らの賑やかな時間をどうか最後まで見守ってください―――。
10月31日。
ケロン軍本部の1室で、何やらごそごそと動く3人は、それぞれが大きな袋を2つずつ持っている。ついでに説明を加えると、3人の格好――もとい着用している服は軍規定の隊服ではなく、普段着でもない。
3人しかいない室内という密室のため大丈夫なものの、もし事情を知らない人がと通るような場所だったら、相当びびるような3人組だ。
「そういや、2人は何を準備したんでありますか~?」
水色模様の袋の口にリボンを結んだソレを持つケロロは、頭の横にかぼちゃのお面、そして黒地に黄色と白色の星を散りばめたポンチョを着ている。
そんなケロロの問い掛けに、体の目立つところに包帯を巻き、シルバーアクセサリーでアクセントを付けたミイラ男のギロロは、溜息を吐いたものの、一応、
「――――飴だ……」
と律儀に答えた。茶色の飾り気の無い紙袋がいかにもこの男らしくて、それがケロロの笑いを誘う。
「ゼロロは?」
「僕は、カップケーキだよ」
こちらは、裏地は赤色、表は黒色のマント。その下にはフリルの付いたワイシャツに黒いズボンをはいて、ワインレッドのネクタイを締めている。そしてよく見ると、口の中にはおもちゃの牙が2本、手首には逆十字架のついたブレスレットがかかっていた。その手に持つ、というより、両腕で大切に抱えているのは、ストライプ柄の紙袋に、凝ったシールで封をしたもの2つ。
2人のそれぞれの答えに満足したように、ケロロは、「よしよし、よくやったであります2人共!」と、何だか偉そうだ。
「そういう貴様はどうなんだ?」
「よくぞ訊いてくれたであります!!我輩は、何と今回、ブルーベリータルトに挑戦したんでありますよ!」
ババーン!と、得意げに袋を掲げるケロロに対して、ゼロロは困ったように苦笑し、ギロロはあからさまに眉を顰めた。『挑戦』よりむしろ、堅実なものを作った方が良かった――むしろ、買った方が良かったのではないか?ということを口にすることは、流石にしなかったけれど。
「で、後は皆で食べるシュークリームが出来ればバッチリでありますな。どれどれ……」
「おい、途中で開けるな」
「え~!」
「ケロロ君。途中であけると、皮がしぼんじゃうよ」
「ぶぅー……しょーがないでありますなぁ……」
しぶしぶ引き下がるケロロに、クリームの泡立てをするよう指示を出すギロロ。こう見えて、相当器用なギロロ指導の下、シュークリームはどんどん完成に近付いていた。
カスタードクリームを作っているゼロロは、手を動かしたまま、今回の始まりを思い出す。
『10月31日は、ケロロ小隊ハロウィンパーティを開催するであります!!』
(いきなりだったから、驚いたけど……)
皆で仮装をして、年下組の2人に、幼馴染トリオがお菓子を渡した後、皆でお菓子を食べたりジュースを飲んで、騒いで……。そんな、他愛も無い楽しみを生み出せるところがケロロのすごい所だと、ひそかにゼロロは思っていた。
つきさっき、ケロロから初めて話を聞かされ、仮装の衣装を手渡されたタママとクルルは、今、別室で待機中である。ケロロがどんな服を用意したのかゼロロもギロロも知らないため、2人がどんな姿になるのか、ドキドキしているのだ。
(……喜んで、くれるといいなぁ……)
コッソリと、お菓子の他に用意したプレゼント。小さなかぼちゃをくりぬいて作ったランタンを、あの想い人はどんな風に受け取ってくれるだろうか?
そこで、「こげるぞ!?」とギロロに言われ、慌てて火を止めたゼロロ。間一髪で無事だったカスタードクリームを前に安堵する青い幼馴染を笑っていたケロロが、(いっそ、クルルにイタズラされてしまえばいいのに……)などと思っていたことは、ケロロしか知らない――。
《to be continue…》
サプライズパーティーは、ささやかに、盛大に!


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